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mmr マッチメイキング elo ランク

MMRの仕組みと試合が偏る理由

公開日
読む時間 1 min
プレイヤーのアイコンが乗った2つの天秤で、マッチメイキングにおける実力のバランスを表したグラフィック

MMR(マッチメイキングレート)は、プロフィールに表示されるランクとは別に、ゲームが内部で隠し持つ実力推定値だ。勝てば上がり、負ければ下がり、誰と対戦し誰とチームを組むかを実際に決めているのはこの数字だ。試合が偏っていると感じるのはバグではなく、待ち時間とバランス、確信度と速度のあいだで、見えない場所でシステムが妥協している結果であることが多い。

MMRとランクは別物

競技マッチメイキングを持つゲームは、プレイヤーごとに2つの数字を管理している。

  • 表示ランク — プロフィールに出る数字(ゴールド、ダイヤ、レーディアントなど)。
  • 隠しMMR — サーバーが実際にマッチングに使う数字。多くのゲームでUI上には一切表示されない。

両者は連動するが同じではない。ランクがゴールドでもMMRはプラチナ相当ということがある。連勝が表示ランクにまだ反映されていない場合や、新シーズンでランクがリセットされてもMMR(通常リセットされない)はそのままの場合だ。Riot GamesはVALORANTについて、MMRはランクから「切り離されている」と公式に説明しており、マッチの質とレート増減を決める主要因だとしている。

起源はチェスのElo

MMRの直接の祖先は、ハンガリー系アメリカ人物理学者アルパド・エロが考案し、1960年に全米チェス連盟が、1970年に世界チェス連盟(FIDE)が採用したEloレーティングだ。各プレイヤーが数字を持ち、その差が勝率を予測する。

期待勝率の式は次の通り。

E_A = 1 / (1 + 10^((R_B - R_A) / 400))

例: レート1500の選手が1700の選手と対戦する場合、差は200なので 10^(200/400) ≈ 3.16、期待勝率は 1 / (1 + 3.16) ≈ 0.24、つまり24%。この選手が勝てば大きくレートを得る。K値32なら獲得は約32 × 0.76 ≈ 24点、負ければ約32 × 0.24 ≈ 8点しか失わない。格上を倒すほど得点が大きいのはこのためだ。

現代システム:不確実性の扱い

純粋なEloには弱点がある。3試合分のレートと3000試合分のレートを区別できない。これを解決したのが、統計学者マーク・グリックマンによるGlicko-2(Lichessが採用)で、「レート偏差」と「ボラティリティ」という不確実性の指標を追加した。MicrosoftがXbox Live向けに開発しHaloなどで使われるTrueSkillは、実力を平均(μ)と標準偏差(σ)の分布で表す。新規プレイヤーはμ=25、σ=8.33で開始し、対戦を重ねるごとにσが小さくなり、レートの変動幅が落ち着いていく。

これが新規アカウントや復帰直後の試合が最も荒れる理由だ。σが大きいうちはシステムが実力を急いで推定しようとするため、格上・格下との対戦を意図的にリスクとして取っている。

MMRとランクのズレ:ゲーム別の例

  • League of Legends — キューごとにMMRを保持し、Riotの公式資料でも「無期限に非公開」とされる。KDAではなく勝敗のみで計算される。
  • VALORANT — 表示されるRR(ランクレート)と隠しMMRを別々に持つ。RRはエピソードごとにリセットされるがMMRは通常維持される。
  • CS2 — Premierモードの数値CS Rating(5,000・10,000・15,000・20,000といった区切りがよく使われる)は、事実上「表示されたMMR」で、相手の強さによって増減額が変わる——格上に勝てば得点が多く、格下に負ければ失点が大きい。

試合が偏る5つの理由

  1. 初期の不確実性 — 新規・復帰アカウントはσ(K値)が高く、システムがまだ実力を把握できていない。
  2. 待ち時間とマッチ精度のトレードオフ — 対戦相手が見つからないと数秒ごとに許容MMR幅が広がる。空いている時間帯ほど不均衡になりやすい。
  3. パーティ参加 — グループは平均MMRでキューに入るが、メンバー間の実力差が大きいと不利になる人が出る。
  4. スマーフ — 実力の高いプレイヤーが新規アカウントで低いMMRから始まり、MMRが追いつくまで試合を歪める。
  5. MMRは確率であって毎回の公平性ではない — 目標は長期的な勝率を50%に近づけることで、1試合ごとの公平さではない。

MMRが存在しない場ではどうするか

草の試合、友人同士の大会、スクリムには自動マッチメイキングがない。それでもMMRの考え方は応用できる。「上手い・下手」ではなく1〜5の評価点をつけ、初めて見るプレイヤーは暫定評価として扱い、いつも組む仲の良いペアはあえて分ける。評価が決まっていれば、Squadbのチーム分けツールが入力したレベルをもとに自動でグループを振り分ける。役割で調整することも有効で、CS2ならCS2の役割解説、LoLなら各ポジションの役割を押さえると偏りを防げる。サッカーの技術差が原因ならサッカーチームのバランス調整ガイドが同じ考え方を示している。

よくある質問

格上に勝つとMMRは多く上がる? はい。期待勝率が低いほど獲得レートは大きくなる。

MMRはランクと同じように毎シーズンリセットされる? 多くのゲームでは表示ランクだけがリセットされ、隠しMMRは維持される。

グループで参加すると各自のMMRは変わる? 直接は変わらないが、実力差の大きいグループは平均で計算された相手と対戦するため、体感難易度に差が出る。